――ことば遊びと機械の「間」の話
ダジャレは、なぜダジャレになるのか
ダジャレというのは「布団が吹っ飛んだ」「イカが怒ってる」「メガネに目がねえ」のような同じ言葉(似た言葉)を連続で繰り返し発言するものである。(記述でも良い)
面白かったり寒かったり、感じ方は人生色々だがAIは現状ダジャレをあまり理解できていないようである。
試しにAIにダジャレを言ってと伝えたら下記のような返答がありました。(意図についても説明してもらっています)
やや私の人格の影響を受けているのか詳しく説明してくれました。
AIはこう答えた(AIが認識しているダジャレ)
「イカが怒ったら、スルメになる。」
この「イカが怒ったら、スルメになる。」というダジャレには、いくつかの“言葉遊び”と“連想”が仕込まれています。AIがこれを出力した理由は、以下のような要素が関係しています。
1. 音の似た語でのダジャレ構造
「イカが怒ったら(いかがおこったら)」→「スルメになる(するめになる)」は、
- 「怒る(おこる)」と「スル(する)」の語感の差があるものの、
- 「イカ → スルメ」という現実的な加工変化が前提として成立している点がユニークです。
2. 現実と比喩のズレによるユーモア
本来、イカが怒ったからといってスルメにはならない。
しかし、
- イカは干されるとスルメになるという現実の知識と、
- 「怒ったら“干からびる”」みたいな感情の変化の比喩
が無理やりつながって笑いを生みます。
この「感情→物理的変化」への飛躍が、AI的には「ユニークな結びつき」として選ばれやすいのです。
3. 「ことばの変換」パターンとしてよくある形式
AIは、以下のような典型的な日本語ダジャレのフォーマットを学習しています。
- 名詞A(生き物など)が何かすると名詞B(加工形など)になる
→ 例:「タコが踊れば、たこ焼きになる」 - 行動によって形が変わる系のシュールな言い回し
この「イカ→スルメ」もそのフォーマットにピタリと当てはまっていたため、言語モデルとしては「いかにもダジャレっぽい構造」として優先的に選ばれた可能性が高いです。
補足:意味が後からついてくることもある
おもしろいのは、これを聞いた人間の側で「怒った → カラカラに乾いた → 静かになった…?」と勝手に深読みしてしまうことです。
つまり、
- AIが意図したのは単なる語呂遊びかもしれない
- でも、人間の側がそこに意味や哲学を感じ取る
という逆転現象が起きるのが、言葉遊びの面白さでもあります。
AIが「ダジャレっぽいもの」を出すとき
さらにAIにダジャレを作らせてみると、こんな感じの返答が返ってくることがあります。
「カエルが帰るのは、帰るからです。」
「バナナは滑るけど、気をつけてね。バナナだけに。」
……なんだか惜しいけど、笑えない。
音は似ている。でも、“遊び心の仕掛け”がない。
この差はどこから来るのでしょうか。
AIにとって「ふざける」は難しい
人間がダジャレを言うとき、そこには必ず「ふざける意志」があります。(無意識のときもある)
聞き手のツッコミを期待していたり、「わかってるけどあえて言う」ような自覚的なズレがあります。
ところがAIは、ふざける意志を持っていません。
言葉の距離感も、聞き手の“心のツッコミ”も知らない。
文脈から「これは冗談ですよ」と示唆するニュアンスの部分、
つまり“言葉の間”や“場の空気”を読む力がまだ弱いのです。