なぜ今、PvPは“しんどく”なったのか
対戦ゲームが好きだったはずなのに、最近どうも疲れてしまう。そんな感覚を持つプレイヤーが増えています。かつては熱中できたPvP(プレイヤー同士の対戦)が、今はどこか敷居が高く感じられる。理由はいくつかありますが、特に大きいのが以下の3点です。
- プレイヤー人口の減少
- リアルタイム操作への負荷
- 気軽に遊べる“非対人型”コンテンツの充実
特にスマホゲームやソーシャルゲームでは、ピークを過ぎたタイトルが多数存在し、マッチングの遅延や「同じ人ばかり当たる」といった現象が頻出します。人口が減ると、勝ち負け以前に**「遊びが成立しない」**という深刻な問題が発生するのです。
その一方で、リアルタイムの緊張感や他人との接触に疲れ、「自分のペースで考え、構築して、あとは眺めたい」という声も増えています。いわゆる構築型プレイヤーにとって、現代のPvPは少しずつ「合わなくなってきた」世界なのかもしれません。
プレイヤーが“人口を生む”という逆転の発想
そんな中で浮上してきたのが、「AI代理戦」という発想です。
簡単に言えばこうです。
自分のプレイスタイルや戦術の癖をAIに学習させ、
そのAIキャラが“自分の代わり”に他プレイヤーと戦ってくれる。
これはただの“オート戦闘”ではありません。プレイヤーが設計した構築・行動傾向・性格までもがAIに反映され、そのキャラがPvP空間で生き続けるのです。
つまり、自分がログインしなくても──
自分がもうゲームを離れていても──
「自分の構築」はAIのかたちで残り続ける。
これは単なる代理操作ではなく、**“思考の外部化”**というまったく新しい楽しみ方です。
格ゲーや麻雀が“AI化”に向いている理由
この構想がとりわけ魅力的なのが、格ゲーや麻雀のような「個性」「癖」「読み合い」が色濃く出るゲームです。
たとえば麻雀なら、
- チートイが好き
- ベタオリ多め、安全重視
- 中盤リーチに敏感で降りる癖がある
といった細かな傾向がAIに学習されれば、「〇〇さんの麻雀AI」という独自性を持つ存在になります。
格闘ゲームでも、
- 牽制多めで差し返し狙い
- 端攻めが強いがコンボは完走しない
- 無敵技の読み合いに強い
などの“プレイヤー癖”をAIが体現できれば、プレイヤー本人以上に忠実な自分の分身が生まれることになります。
これは「AIに任せたら適当に動く」のではなく、**“プレイヤー本人の思想が勝手に戦ってくれる”**構造なのです。
AI代理戦の実現はどれくらい近いのか?
実はすでに、その入り口は登場し始めています。
- ストリートファイター6には「AIトレーニング」機能があり、プレイヤーの動きを学習したAIキャラを育てられます。
- 将棋・囲碁・麻雀のアプリでは、ユーザーの打ち筋を記録・分析し、似た打ち方をする“自分型AI”との対戦が実現されています。
- ゲーム以外でも、GPT×強化学習による「人格模倣AI」「行動ログベースのシミュレーション」は進化しており、数年後には“構築されたAI人格”が対戦空間を歩くようになるでしょう。
つまり、「AIに戦わせて自分は設計に徹するPvP」は、**想像の中の未来ではなく、“もうすぐ届く現実”**なのです。
プレイヤーが戦わない、でも勝てる──新しい“勝ち方”の形
AI代理戦が実現したとき、プレイヤーにとっての「勝ち」とは、もはや操作で相手を倒すことではなくなります。代わりに次のような新しい勝ち筋が生まれます。
| 勝ち方のタイプ | 内容 |
|---|---|
| 育成型勝利 | 自分の育てたAIキャラが大会で優勝する。操作は一切していないが、自分の構築が勝った。 |
| 読み合い型勝利 | 相手のAIの癖を見抜いて、それに刺さる構築をAIに仕込む。 |
| 文化継承型勝利 | 自分の戦術スタイルが“流派”としてAIに残り、後世のプレイヤーに受け継がれていく。 |
| ログアウト型勝利 | ゲームを離れても、自分の思考が世界の中で勝ち残っている。 |
これは、もはや「強いプレイヤーになる」ことではなく、
「自分の構築思想を世界に浸透させる」ことが目的になるPvPとも言えるでしょう。
しかもこれは、現代の“趣味過疎化”問題の答えにもなる
深く構築にハマれるプレイヤーは、実は貴重な存在です。しかし現実には…
- 対戦人口が減りやすい
- サービス終了=世界ごと消滅
- ニッチな好みに共感者がいない
といった「趣味の孤立」がゲーム空間でも起きています。
そこでAI代理戦が導入されると、構築にハマれる人が **“人口を生む側”**になります。たとえプレイヤー本人がいなくても、
- 作ったAIキャラが何十人と存在する
- 世界観やPvPのにぎわいを保ってくれる
- 他プレイヤーがそのAIに挑むことで、“その人の構築”が文化化する
つまり、趣味の消滅ではなく“代理による持続”が可能になるのです。
思考の分身が残る世界──AI代理戦の本質
この構想の深いところは、単に「楽して遊ぶ」「ログアウトしても勝てる」だけではありません。
むしろ本質はこうです。
思考を形にして、他者と関わる方法が変わっただけ。
- 自分の操作ではなく、自分の設計が世界を動かす
- 自分の指先ではなく、自分の“読み”が他人に試される
- 自分の時間がない日でも、自分の代理が生きている
これはプレイヤーにとって、
**「存在感を残す」「思考が誰かと繋がる」**という深い快感につながります。
最後に:PvPが“文化”になる時代へ
AI代理戦がもし一般化すれば、PvPは“ただの勝ち負け”ではなく、“継承と構築の文化”になります。
- あのAIキャラは誰々が作った流派
- この戦法は昔の構築勢の設計思想から来てる
- 今も生き残ってるAIキャラの癖がエグい
そんな「プレイヤーの思想が世界に残り続けるPvP」は、
過疎にも、疲労にも、サービス終了にも強い、**新しい“勝負の形”**を提示してくれるはずです。
🧩 まとめ
- PvP人口の減少は、避けがたい問題です
- しかし「AIに自分の癖・思考を学ばせて、代理で戦わせる」ことで、
プレイヤーが“人口を生む”側に回ることができるようになります - それは、自分の手で“にぎわい”や“文化”を残す行為でもあり、
思考の構築者たちにとって最高の遊び場となるでしょう