📝 筋肉はついた。でも、疲れやすくなった気がする。
── ウサイン・ボルトの言葉に、ふと重なる身体の変化。
最近、ある違和感をよく感じるようになりました。
筋トレを続けて、前より重いものを持ち上げられるようになった。見た目にも筋肉がついた。
けれど、ふとした日常の中で「なんか疲れやすいな……」と感じることが増えた気がするんです。
たとえば、階段を上ったときに息が切れやすかったり、
買い物袋を提げて少し歩いただけで、妙に体が重く感じたり。
「いやいや、筋トレしてるのに疲れやすくなるなんてある?」と、最初は自分の勘違いかと思いました。
でもある日、ウサイン・ボルトのインタビュー記事を見つけて、ちょっと驚いたんです。
🟠「階段を上るだけで息切れする」金メダリストの今
世界最速の男として知られるウサイン・ボルト。
100m、200m、リレーと、数々の世界記録を持ち、オリンピックで8個の金メダルを獲得したスプリンターです。
そんな彼が、引退後の生活について語ったインタビュー記事で、こんなことを言っていました。
「今はもう走っていない。アキレス腱を痛めていて、
ジムには行っているけど、階段を上るだけで息が切れてしまう」
この言葉、妙にリアルで印象に残ったんです。
一時代を築いたトップアスリートが、日常の中で“息切れする側”になっている。
ボルトはもちろん、アキレス腱の断裂という大きなケガを経ていることもありますが、
それを差し引いても、「あのボルトですら…?」という意外性に、ぐっと引き込まれました。
🟡短距離型の筋肉は、燃費が悪い?
そこでふと、「自分の疲れやすさとボルトの話って、どこかでつながってるんじゃないか」と思ったんです。
というのも、自分の筋トレも、けっこう“短距離的”なものが多いんですよね。
高重量のベンチプレスやスクワット、短時間の爆発力を重視するようなメニュー。
その結果、確かに筋肉は増えたけど、エネルギーの消耗スピードが以前より早くなった気がする。
これ、調べてみるとちゃんと理屈があるみたいなんです。
🧠 知っておきたい:「速筋」と「遅筋」の違い
人間の筋肉には大きく分けて2種類あります。
| 種類 | 役割 | 特徴 |
|---|---|---|
| 速筋(白筋) | 瞬発力・爆発的パワー | 疲れやすい/酸素をあまり使わない/回復が遅い |
| 遅筋(赤筋) | 持久力・スタミナ | 疲れにくい/酸素を使って燃焼/長時間動ける |
短距離走や高重量トレーニングでは、速筋を中心に使う/鍛えることになります。
この速筋が発達すれば、当然パワーも見た目も“上がる”。
でも代わりに、酸素を効率よく使う機能(=心肺機能)とのバランスが取りにくくなるんです。
つまり――
爆発的な力は出せるけど、長く動き続けるのが苦手になる。
このバランスの変化が、「なんか前より疲れるかも…」という感覚につながっている可能性が高いと感じています。
🚶♂️階段がしんどいのは、体が“爆発モード”に偏っているからかもしれない
日常生活って、特にハードな動きはないけれど、地味に負荷がかかる場面が多いですよね。
階段をのぼる、坂道を歩く、荷物を持って移動する。
これらは基本的に「軽〜中強度を長く続ける動き」で、持久力寄りの遅筋や心肺機能が活躍する領域です。
一方で、速筋中心の身体に偏っていると、
こうした動きにうまく対応できず、呼吸が浅くなったり、リズムが崩れたりしやすくなる。
ある意味、「日常には合っていない身体の使い方」になっているのかもしれません。
⚙️ 筋肉が増えると、酸素の“コスト”も上がる
もう一つ興味深い話があります。
筋肉は、あるだけで酸素とエネルギーを消費する臓器です。
つまり、筋肉量が増える=身体の「維持コスト」も増えるということ。
→ たとえるなら、「エンジンが強化された分、燃料がたくさん必要になる」。
もし心肺機能や回復能力がその分ついてきていなければ、**“動かしていないのに疲れる”**という感覚になるのも無理はないのかもしれません。
💤 神経系の疲れも、じわじわ蓄積している?
重いものを持ち上げるトレーニングでは、「筋肉」だけでなく「神経」も酷使します。
しかもこの神経系の疲れは、意識しにくいのに深く残りやすい。
- 集中力が切れやすい
- 眠りが浅くなる
- 回復が追いつかない
こうした「じわじわくる疲労感」も、筋トレ上級者がぶつかる壁の一つと言われています。
“息が切れる”というより、“うまく回復できない”感覚に近いかもしれません。
🪞筋トレの成果と、“日常のしんどさ”のはざまで
もちろん、筋トレ自体は悪いわけではありません。
むしろ身体に芯ができて、自信や健康にもいい影響があります。
でも同時に、「パワーアップの副作用」もあるんだな、と改めて気づいたのが最近の自分の変化です。
見た目や記録だけでなく、「暮らしの中でどう感じるか」まで含めて、体を見ていけたらいいなと。
たとえば、週に1〜2回はゆっくり長めに歩くとか、
インターバル走をちょこっと混ぜるとか、
ジムでのトレーニングだけじゃなく、体のリズムを整える日も作っていけたらいいかもしれません。
📝 まとめ:ボルトの言葉に重なる、日常のちいさな“ズレ”
「階段で息切れするようになった」というボルトの言葉。
もしかしたら、そこには“速すぎる身体”がゆっくりに戻っていく過程の違和感があったのかもしれません。
自分の身体もまた、筋肉がつくほど、日常のなかで少しずつズレが生まれている。
そんなことを、ふと思い出した朝でした。