結論:バファリンのもう半分は、「生理的な許し」成分でできている(かもしれない)
「バファリンの半分はやさしさでできている」──
あまりにも有名なこのキャッチコピー。耳にしたことがない人はほとんどいないはずです。
だが、ある日ふと思いました。
「もう半分は何でできているのか?」と。
この問いは単なる“言葉遊び”に見えるかもしれません。
でも実は、私たちの身体、心、そして世界の設計原理にまで関わる、空想科学的な謎が詰まっているのです。
さあ、バファリンという“錠剤の宇宙”を、解剖してみましょう。
第1章:まず事実──バファリンの「やさしさ」の正体とは何か
最初にきちんと押さえておきたいのは、
「やさしさ」とは、科学的には“胃にやさしい”という意味だということ。
バファリンAには、有効成分アスピリン(660mg)と一緒に、制酸成分「ダイバッファーHT(200mg)」が含まれています。
この“やさしさ成分”は、
- アルミニウムグリシネート(胃粘膜を守る)
- 炭酸マグネシウム(酸を中和する)
といった緩衝剤でできており、アスピリンによる胃の荒れを軽減します。
つまり広告の“やさしさ”とは、物理的に胃に対する攻撃力を下げる働きだったのです。
第2章:「もう半分」は本当に“アスピリン”だけなのか?
「もう半分は何?」という問いに対し、多くの人はこう答えるでしょう。
「それは鎮痛成分のアスピリンだよね」
でも待ってください。
実際の配合比は、アスピリン:660mg/ダイバッファーHT:200mg。
割合でいうと、「やさしさ」成分は約3割弱しかない。
ということは、広告が言う“半分”はすでに科学的には誇張表現なわけです。
──だったら、もうここからは空想科学の出番です。
「バファリンのもう半分」は、科学的な成分にとどまらず、もっと深い“なにか”でできていると考えましょう。
第3章:空想科学的推論①「もう半分は“信頼”でできている」説
風邪で体がだるいとき。頭痛で動けないとき。
バファリンを口にするその瞬間、人はどういう気持ちになるでしょうか?
- 「これでちょっと楽になるかも…」
- 「なんとか今日を乗り切れそう」
- 「よし、もう一踏ん張り」
──それはつまり、安心と信頼なのです。
ここで注目したいのが「プラセボ効果」。
薬の主成分とは無関係に、“治ると信じる”ことで実際に症状が改善されるという科学的に認められた現象です。
つまり、バファリンのもう半分は「効く」と信じる脳内センサーを起動する成分──
名付けるなら、「セロトニン誘発型信頼促進子」ではないでしょうか。
🧪成分名(仮):Placebomin®(プラセボミン)
これが含まれていることで、服用者は「治る自分」を信じ、
それが免疫系に作用して治癒のスピードを上げる…という可能性すら考えられるのです。
第4章:空想科学的推論②「もう半分は“ゆるし”でできている」説
痛みは“敵”ではありません。
それは、体からのSOSであり、休めというサインでもある。
にもかかわらず、人間は痛みを止めるという選択をする──
つまり「痛みを無視してでも、何かをやり遂げたい」瞬間に飲むのが、バファリン。
ここに空想科学的仮説が生まれます。
バファリンには、「本当は無理をしている自分を、いったん許す」成分が含まれているのではないか?
🧪仮称:Forgivium(フォーギビウム)
→ 脳内で「それでも前に進もうとすること」を肯定する神経伝達物質を模倣する成分。
これが働くことで、
「今日はちゃんと薬を飲んだから頑張ってもいい」
という、自己内対話の折り合いがつくのです。
第5章:空想科学的推論③「もう半分は“時間”でできている」説
バファリンを飲んでから効くまでの時間──
それは単なる“薬理的反応のラグ”ではない。
むしろ、「効いてくるまでの数十分」は、人間の思考や感情の再編成が起こる時間だ。
このタイムラグは、実は“治癒の準備時間”として作用しているのではないか。
薬を飲んだ直後に
「さて、ちょっと横になろうかな」
「これで少し楽になれば…」
という思考が生まれる。
これは、時間そのものが薬効に寄与しているという空想科学的解釈につながる。
🧪仮称:Chronozyme(クロノザイム)
→ 時間を“痛みの外側に追いやる”生理的効果を持つ仮想成分。
→ 飲んだ瞬間から、時計の針が「リセット」され、精神的な痛覚が緩む。
つまり、「もう半分は時間」──これは単なる詩的表現ではなく、
“時間が効能を持つ”という発想の具現化なのかもしれない。
第6章:バファリンは「情報薬」であるという仮説
ここでさらに踏み込んだ仮説を立ててみよう。
バファリンとは、「アスピリンと制酸剤」という物理的な化合物だけではなく、
「薬であるというラベル」そのものが持つ情報価値を含んだ“情報薬”ではないか?
- 名称:バファリン
- パッケージ:白と青の清潔感
- コピー:「やさしさでできている」
- 広告:家族・安心・日常の中のケア
これらすべてが「効きそう」「信頼できそう」と思わせる情報刺激を与えている。
つまり、もう半分は“記号的効能”──
人間の脳が「これは自分を助けてくれる存在だ」と認識する情報構造でできている。
🧪仮想名:Infomedin(インフォメディン)
→ 情報の形式で効能を持つ、パッケージ依存性の高い成分。
第7章:キャッチコピーに隠された“問いの仕掛け”
では、なぜ「半分はやさしさ」とわざわざ言ったのか?
成分としては3割程度しか“やさしさ”要素はない。
なのに、あえて「半分」と言ったこの表現は、問いを生むための仕掛けだったのではないか?
- 受け手が「じゃあもう半分は?」と考える
- 結果的に「鎮痛成分」と「安心成分」の両方を想起する
- さらには「自分の中の痛み」と向き合う思考が始まる
そう、このコピーは薬そのものを“思考の装置”に変える鍵でもあったのだ。
バファリンのもう半分──それは、
「薬としての効能」ではなく、「効いてほしいと願う人間の物語」そのものだった。
まとめ:バファリンは、“自分を許しながら前へ進む”構造そのもの
バファリンはただの痛み止めではない。
それは人間が「痛みによって止められる」ことと、
「それでも進みたい」ことの間で、
一時的な“和解”をつくる装置なのだ。
「やさしさ」とは胃の保護成分だけではない。
- 信頼
- 安心
- 時間
- 情報
- 自分へのゆるし
そういった見えない成分を、
バファリンという形で私たちは飲み込んでいる。
だからこそ、バファリンのもう半分は、
科学で測れないものでできている。
そしてそれこそが──
**空想科学のフィールドが扱うべき「現実と妄想の交差点」**なのだ。