足の利きは、手よりずっと“ゆらぐ”。5歳くらいまでは、どっちの足をよく使うか決まっていない子が多い。
右利き・左利きといえば、ふつうは“手”の話。
でも実は、足にも利き足(フットドミナンス)があります。サッカーでボールを蹴るとき、ケンケンで飛びやすい方の足、階段を上るときに最初に出る足──それが利き足です。
ただし、幼児期の子どもはこの「利き足」が安定していないことが多いのです。
「今日は右、明日は左」と揺れ動くのが普通。
手よりも、もっと“気まぐれ”で“気分屋”な感覚器官かもしれません。
🧩 背景:足の利きはいつ決まるの? どうやって見分けるの?
● フットドミナンスとは?
人間には「片方の手・足・目・耳を優位に使う」傾向があります。これを**ラテラリティ(側性)**と呼び、左右非対称の使い方が自然に現れます。
そのうち足に関する利きがfootedness(足の利き)。でもこの“足の癖”、実は手よりも曖昧で、文化の影響を受けにくいとされています。
● 研究:3〜5歳の子どもたちの足の利きは3割が「混合型」
👣 Gabbardらの研究(1991)
- 3〜5歳児205人の観察により、**26〜32%の子どもが「利き足が安定していない(混合型)」**と判明。
- 一方、同年代の利き手が混合だったのは15〜20%程度。
- → 足の方が手よりも、発達の初期段階での安定が遅い。
また、階段の上り下り、ボールを蹴る、ジャンプするなどのタスクで観察しても、日によって違う足を使う子どもが多いと報告されています。
● フットスキルテストでも安定性が低い
👣 Musalek(2015)の技能テスト研究
- 8~10歳の児童210人を対象に、手と足のスキルテスト(書く/蹴るなど)と利きの一致を調査。
- 手では一致度(相関係数)は0.56〜0.89と高かったのに対し、
- 足では一致度が0.25〜0.46と低く、「どちらの足が利きかを特定するのが難しい」状況が多かった。
→ 特に幼児期では、**「自分の利き足がどっちか、本人も分かってない」**という状態が普通のようです。
● 専門的なレビューによる整理(Gentry & Gabbard, 1995)
- 幼児(3〜6歳)は、足の利きが左右バラバラになりがち。
- その後、7〜11歳ごろにかけて右足優勢(右利き)に向かって安定していくことが多い。
- 逆に左足や両足型に定着するケースも、少数ながら存在する。
- 利き足の安定化に性別差はなく、文化や教育環境の影響も限定的。
📒 体験談トリビア:現場で語られる“利き足が決まらない”子どもたち
▶ ケース1:親の気づき「昨日は右、今日は左?」
ある海外の子育てブログでは、次のような観察が記録されていました。
「うちの子、昨日は右足でボールを蹴ってたのに、今日は左。
階段も毎回交互で上るし、どっちが利き足かなんて全然分からない。
でも本人は楽しそうだから、まあいっかと思ってる。」
🌀 幼児期の「足の利き」は、親でも見極めがつかないほどランダムな動きに見えることがあります。
▶ ケース2:保育士の現場感覚「片足立ちがヒントになる」
「遊びの中で片足立ちする場面をよく見ていると、踏ん張りやすい足ってやっぱりあるんですよ。
ただ、3歳だとまだ日によって変わる。4〜5歳でようやく、 ‘あ、こっちが軸足なんだな’ って分かるようになる子が増えます。」
→ このように、幼児期は「利き足のような動き」が見えても、それが定着していない段階が多いのです。
🧠 考察:「不安定な利き足」からわかる、発達の奥深さ
🌀 なぜ足の利きは決まりにくい?
- 手と違って使用頻度が低いから
→ 足でモノを操作することは稀。用途が限られ、差が現れにくい。 - 運動発達に時間がかかるから
→ 片足立ち、ジャンプ、蹴るなど、精密な足の使い方は3〜5歳以降に育つ。 - 脳の可塑性が高いため
→ 幼児期は左右脳のどちらもバランスよく発達しており、「どちらでもいい状態」が長く続く。
🧠 足の利きは“観察する”もの
足の利きは、質問したり、1回テストすれば分かるようなものではありません。
むしろ、日常の中でじっくり観察して「パターン」を見つけるものです。
- 階段の最初の一歩
- ボールを蹴る足
- ケンケンの最初の足
- スキップの動き出し
- 靴を先に履く足
🧠 これらを数日~数週間かけて見ていくと、「なんとなく右っぽい/左っぽい」が見えてくることも。
🌱 決まっていなくても、大丈夫です
最後に、気になるQ&Aを。
- 「うちの子、まだどっちの足を使うかバラバラで不安です…」
→ 心配いりません。5歳でも混合型は普通です。 - 「左利きでも不利になりますか?」
→ 足に関しては、文化的なバイアスが少ないので左利きでも問題なし。 - 「利き足が決まると、何か良いことあるんですか?」
→ スポーツやバランス感覚に影響する可能性はありますが、決まる時期そのものに優劣はありません。
🏁 まとめ:子どもの足が“どっち利き”かは、あとから決まっていい
足の利きは、手よりもずっと曖昧で、発達に時間がかかります。
それを“未熟”と捉えるのではなく、「まだ決まってない=どちらでも試してる」と見ると、子どもの動きがより面白く見えてきます。
つまり──
「足元のフラフラは、発達のサインかもしれない」
そう思って、今日も階段を一段目から観察してみてはいかがでしょうか。