▷この記事で伝えること
- 「レンタル怖い人」という架空ギリギリのサービスが、実はすでに一部で動いている現実
- 実例から見る「怖い人」の使い道と意外な安心効果
- エンタメ・演出だけでない、人間関係に潜む“恐怖”の構造
- 社会的に成立させるための考察と注意点(後編で詳述)
「怖い人、貸します」が冗談にならない時代
レンタル彼女、レンタル友達、レンタルおっさん、そしてレンタルなんもしない人──。
ここまで来たなら、次は「レンタル怖い人」でもおかしくない。
このサービス、いったい誰が使うんだ? と思うかもしれない。
でも、実はすでに似たような依頼は存在している。
たとえば……
- 別れ話の同席(怖い兄貴役)
- 騒音トラブルの睨み役(苦情係として)
- ドタキャン防止の圧として一緒に来店
- SNSの炎上対策に“強面アカウント”のレンタル
冗談みたいな依頼に見えて、背景には意外とリアルな人間関係の“詰まり”がある。
事例1:「別れ話に怖い兄が必要だった」
ある女性の体験談(※ブログより)。
DV傾向の元彼と別れたいが、1人では怖くて言い出せなかった。
そこで「知人の怖い兄(風)」として登場してもらうため、怖そうな人をSNSで探して依頼。
「目つきが鋭く、口数が少ない男性が一緒にいるだけで、元彼の態度が豹変。何も言わずに別れ話を終えられました」
これは既に“レンタル怖い人”といっていい。
依頼者は守ってほしいわけではない。
ただ「怖がってくれる存在」を“横に置いておきたい”だけなのだ。
事例2:「喫茶店でただ存在する“怖い人”」
実際に「レンタルなんもしない人」を喫茶店に招いた店主がいる(note発信者)
ここでの依頼は「なにもせず、店内で過ごしてもらうこと」。
この構図を反転させたら、こうなるだろう:
「うちの店で、静かににらんでてもらえませんか?」
「問題客がいるので、視線だけで牽制してもらえたら助かります」
もちろん誇張はあるが、「何もしない人」すら影響力を持てるなら、「ただ怖い人」が空気を変える力を持つのは自然なことだ。
事例3:「演出としての“怖さ”」が求められている
YouTube界隈では、「霊感レンタルおやじ」や「ホラー体験演出師」など、“怖がらせのプロ”が既に存在している。
- 霊感おやじ:体験談を聞いて怪談としてリメイク
- ホラー演出師:依頼に応じて背後に立つ、突然叫ぶ、壁を叩くなど恐怖を演出
これらは一種の「ホラー体験を代行する存在」だ。
つまり“怖い人”は、実用以外にもエンタメの装置として使われている。
想定される「レンタル怖い人」の活用シーン5選
| 用途 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 別れ話の同席 | 恋人・不倫相手とのトラブル別れを円滑に | 緊張・暴力抑止 |
| クレーム代行 | 苦情や交渉の場に“怖そうな人”が行く | 相手の態度を和らげる |
| SNS防衛 | アイコンだけ“怖そうな人”を表示 | 誹謗中傷を抑止 |
| 撮影演出 | ドラマやYouTubeの「圧ある脇役」として出演 | 臨場感や空気づくり |
| 家族への威圧 | モラハラ親や上司への“交際相手演出” | 逆パワーバランスで防衛 |
ただし「怖い人」は諸刃の剣
当然ながら、このサービスには強い注意点もある。
後編では「依頼者・利用者・社会」それぞれが感じるであろう心理的・倫理的な懸念点を掘り下げていく。
「怖い人」が怖すぎたら、もうレンタルできない?
「レンタル怖い人」と聞いて想像するのは、たぶん映画に出てくるような「威圧感のある人」や「目が鋭い無口な人」かもしれない。
でも、現実には“本当に怖い”人を貸し出すことはできない。
なぜならそれは、依頼者にとっても脅威になり得るからだ。
ここで矛盾が生じる。
- 怖くなければ、レンタルする意味がない。
- 怖すぎれば、誰も安心できない。
つまり、「本当に怖く見えて、実際には優しい」人でなければ成立しない。
“外見だけ怖い”を演じられるプロフェッショナルが求められるサービスだ。
実在する類似サービスとの比較
■「レンタルなんもしない人」
→ 怖さ:ゼロ。役に立たなさが価値
■「レンタルおっさん」
→ 人情味、愚痴聞き、父性
■「ホラー演出師」や「霊感おやじ」
→ 怖さを“演出”として提供。実害はないが臨場感はある
「レンタル怖い人」が成立するには、
- 怖く見える
- だが安全
- 演技と演出ができる
この3つを同時に満たす必要がある。
想定されるリスクと倫理的課題
1. 【利用者側の誤解】
「頼んだのに、逆に私がビビって泣いてしまった」
→ 怖い人が“依頼者にもプレッシャーを与える”構図があり得る。
2. 【依頼内容の逸脱】
「DV加害者に仕返ししてほしい」「復讐を手伝って」など
→ 犯罪スレスレ、もしくはアウトな依頼が発生する可能性がある。
3. 【社会的誤認】
→ 近隣から「暴力団関係者を雇っている」と思われて通報される危険。
4. 【演者側のメンタル消耗】
→「怖がられ続ける」「嫌われ役を続ける」ことで、自己肯定感の喪失につながるおそれ。
考察:「なぜ人は“怖い存在”を借りたくなるのか?」
心理学的にいえば、「怖い存在」は防衛の道具になりうる。
- 自分では言い出せないことを、代わりに存在感で伝えてほしい
- 自分の弱さを覆い隠す“外装”として使いたい
- 不安な状況を、視覚的なパワーで押し返したい
これらは、いずれも「力の演出」を借りる行為である。
現代社会では、力や威圧は“排除すべきもの”とされがちだ。
でも、「ただ存在してくれる怖い人」がいることで、
弱い人がほんの少し安心できることもある。
結論:「レンタル怖い人」は、意外に社会に必要かもしれない
もちろん、「笑い話で終わるレベル」のサービスであってほしい。
でも──
- DVから逃れたい
- 不審者を近づけたくない
- 話す勇気が出ない
そんなとき、
「横に立ってくれる怖い誰か」が必要になる瞬間は、確かにある。
“怖い”を演じることが、“優しさ”の形になる時代が来ているのかもしれない。
🔗 出典・参考: